「ドタン・・」 会場に響く音。
昨日のコンサートで指揮者が爪先を指揮台に引っかけ膝から崩れ落ちた。顔を歪めピクリとも動かないマエストロ。痛そうだった。
オーケストラ、バレエ、オペラ等の“生”舞台ではハプニングに遭遇することがある。
〇熱狂の演奏。勢い余って指揮台から足を踏み外すマエストロ。
〇マエストロの手から指揮棒が弧を描いて飛んでいったこともあった。
〇舞台に楽団員が揃い最後に出てくるコンサートマスター。スカートの裾を踏みつけ前倒れた。ヴァイオリンの部品が舞台にコロコロと散乱。
〇ピアノ協奏曲のチューニング。コンサートマスターが間違った鍵盤をたたいた。ドリフのコントを思い出した。
〇演奏中ヴァイオリンの弦が切れることは1年に1度くらい目撃する。弦が切れたヴァイオリンは後席の人が使用していたヴァイオリンと交換され、後席の人から更に後ろへとヴァイオリンが送られてゆく。そして、最後列の人は足元においてある予備のヴァイオリンと交換するか、楽屋に戻りヴァイオリンを修理して戻り、前列の人へ修理したヴァイオリンを送り返してゆきます。
〇ステージの自席につき楽譜がないことに気付いたクラリネット奏者。楽譜を取りに楽屋に戻ったきり、しばらく戻って来なかった。
〇円を描きぐるぐる小走りに舞う12羽の白鳥。1羽が足を滑らせ派手にこけた。その白鳥は直ぐ群れに戻り見分けがつかなくなった。
〇お姫様と王子様の優雅な舞。お姫様が王子様の肩に手を添え“決め”のポーズでクライマックス。お姫様の手が空を搔いた。
〇くるりと空中1回転。バシッと着地が決まらないときもある。
舞台から目を転じると客席には2,000人ほどの観客。それだけ人がいれば何かが起きることは珍しくない。
〇音楽に合わせて指揮する人、リズムに合わせて体を動かす人、鼻歌を歌う人、かなり迷惑。
〇本気で眠っている人。イビキが聞こえたことはないけれど、スースー寝息が聞こえることはある。薄暗く、エアコンが効き、心地よい音楽、もし食後なら尚更だ・・・気持ちはわかる。
〇いよいよマエストロのタクトが振り下ろされようとしたとき「ピロピロピロピロ」鳴り響く携帯電話の着信音。
クラシックのコンサートホールは舞台に落ちる針一本の音が客席最後列でも聞こえる設計になっている。客席は様々な方向に設計され、曲がった階段はステップ幅が狭く、急な場所もあるため、観客が階段を踏み外すこともある。
先月、オーケストラ演奏中に割と大きな地震が発生した。客席からはどよめきと小さな悲鳴が上がるほどだった。舞台では何事もなかったかのように演奏が続いている。会場が耐震構造で演奏者が安心していたのか。。。演奏に集中していてまったく気づかなかったのか。
タイタニック号で演奏を続けた楽団員は演奏に集中していて船が沈没することに気付かなかった…というわけではなさそうだ。
新型コロナウィルス感染症の影響で、2020年2月から半年間、舞台はすべて中止になった。その後、舞台再開となっても、客席の前後左右を空けての入場制限があった。
現在、それらの制限はなくなり、プログラムによっては満席の公演もあるが、海外からのゲスト招聘はまだまだキャンセルになるケースが多い。舞台が密になるスケールの大きな演目はまだ組めていない。🎵